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【建設業】経営事項審査とは?申請方法、点数向上のコツを解説
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【建設業】経営事項審査とは?申請方法、点数向上のコツを解説


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建設業界において、公共工事の受注機会を得るために欠かせない経営事項審査「経審」と略称されることが多い)。

多くの中小建設企業の方々にとって、この審査制度の仕組みや評点の計算方法を理解することは、事業の成長と発展に直結する重要な課題となっています。

特に近年は、建設業界全体でデジタル化や働き方改革が進む中、経営事項審査の評価項目も時代に即した形で変化してきており、これらの動向を正確に把握することが、企業の競争力強化につながります。

本記事では、経営事項審査の基本的な概要から、具体的な申請手続き、そして評点アップのためのポイントまで、実務に即した形で分かりやすく解説します。特に、評点計算の仕組みについては、詳しく説明していますので、初めて経営事項審査に取り組む方でも理解しやすい内容となっています。また、最新の制度改正への対応や、デジタル化時代における効率的な準備方法についても触れていきます。 

経営事項審査とは?

引用元:国土交通省 関東地方整備局https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000847134.pdf

経営事項審査は、公共工事を直接請け負おうとする建設業者の経営力や施工能力などを、国土交通大臣または都道府県知事が客観的に評価する制度です。国土交通省が定める統一的な基準に基づいて、建設業者の経営状況や技術力などを総合的に評価し、その結果を数値化して示すものとなっています。

この制度は、公共工事の適切な施工を確保するとともに、健全な建設業界の発展を促進することを目的としています。特に、発注者側にとっては、建設業者の能力を客観的に評価できる重要な指標となっており、入札参加資格の審査などにも広く活用されています。 

経営事項審査の法的根拠

経営事項審査は、建設業法第27条の23に基づいて実施される法定の審査制度です。国土交通省の「経営事項審査及び総合評定値の請求について」によれば、公共工事を直接請け負おうとする建設業者は、この審査を受けることが義務付けられています。

(経営事項審査)

第二十七条の二十三

公共性のある施設又は工作物に関する建設工事で政令で定めるものを発注者から直接請け負おうとする建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その経営に関する客観的事項について審査を受けなければならない。

2 前項の審査(以下「経営事項審査」という。)は、次に掲げる事項について、数値による評価をすることにより行うものとする。

 一 経営状況

 二 経営規模、技術的能力その他の前号に掲げる事項以外の客観的事項

3 前項に定めるもののほか、経営事項審査の項目及び基準は、中央建設業審議会の意見を聴いて国土交通大臣が定める。

建設業法第27条の23: https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000100/20220617504AC0000000068#Mp-Ch42-At27_23

この法的根拠は、平成6年の建設業法改正により整備され、その後も社会情勢の変化に応じて、評価項目や計算方法が適宜見直されてきました。特に近年は、働き方改革や生産性向上の観点から、新たな評価要素が追加されるなど、制度の充実が図られています。

また、建設業法施行規則では、経営事項審査の具体的な評価項目や計算方法が定められており、全国統一の基準として運用されています。これにより、地域や発注機関による評価のばらつきを防ぎ、公平な競争環境が確保されています。

国土交通省「経営事項審査及び総合評定値の請求について」:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/16bt_000153.html

経営事項審査の前提条件

経営事項審査を受けるためには、まず建設業許可を取得していることが大前提となります。建設業許可は、国土交通省の「建設業の許可とは」「許可の要件」に詳しく記載されているように、建設工事を請け負うために必要な基本的な資格となります。

国土交通省「建設業許の許可とは」:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/16bt_000080.html

国土交通省「許可の要件」:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/16bt_000082.html

建設業許可の取得には、以下のような要件を満たす必要があります。まず、営業所ごとに専任の技術者を配置することが求められます。この技術者は、一定の実務経験や資格を有している必要があり、その要件は許可を受けようとする業種によって異なります。

また、財産的基礎として、請負契約を履行するために必要な一定の資金力も求められます。具体的には、法人の場合は資本金額が500万円以上であることや、経営業務の管理責任者として建設業に関する一定の経験を有する者を置くことなどが必要です。

これらの要件を満たし建設業許可を取得した後、経営事項審査を受けることができます。建設業許可は5年ごとの更新が必要であり、その間の経営事項審査も定期的に受ける必要があります。

経営事項審査の費用と有効期限

経営事項審査には具体的な費用と期限が設定されています。まず、経営状況分析申請料として、約10,000円から14,000円程度が必要となります。この費用は、財務諸表等の分析を行う経営状況分析機関に支払われるもので、機関によって金額が異なります。

さらに、経営規模等評価申請手数料として、8,100円(2025年1月から8,800円)+審査対象業種×2,300円が必要となります。これは、都道府県等の許可行政庁に支払う手数料です。また任意ですが、総合評定値請求として400円+審査対象業種×200円が必要です。通常は経営規模等評価と総合評定値算出は同時に申請しますので、8,500円+審査対象業種数×2,500円となります。

これら経営状況分析、経営規模等評価、総合評定値算出を合わせると、経営事項審査の費用は合計で最低でも20,000円以上必要となります。 

有効期限については、結果通知書(経営事項審査)を受領した後、その経営事項審査の審査基準日から1年7ヶ月の間です。この期限を過ぎると経審の評価結果は失効しますので、期限切れとなる前に更新審査を受ける必要があります。特に、毎年公共工事を直接請け負おうとする場合は、有効期間が切れ目なく継続するよう、決算後速やかに経営事項審査を受ける必要があります。

なお、合併・分割等の組織再編が行われた場合は、その都度、臨時の経営事項審査を受ける必要が生じることがあります。これらの特殊なケースについては、事前に許可行政庁に相談し、適切な対応を取ることが推奨されます。

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経営事項審査を受けるメリット

経営事項審査を受けるには、申請手続きや費用が必要となりますが、経営事項審査を受けることにより、様々なメリットが得られます。公共工事の入札参加資格を取得できるだけではなく、企業評価の客観的な指標を獲得したり、経営状況を把握して経営改善につなげること等も挙げられます。 

公共工事への参加資格取得

経営事項審査を受けることで、国や地方公共団体が発注する公共工事の入札に参加する資格を得ることができます。これは、安定的な受注機会の確保につながる重要なメリットです。公共発注機関では、一定以上の経審点数を入札参加要件として設定しなければなりません。

具体的には、国土交通省や各都道府県、市区町村が発注する道路工事、河川工事、学校や庁舎などの建設工事といった様々な公共工事への入札参加が可能となります。近年は、防災・減災対策や老朽化したインフラの更新工事など、公共工事の需要が高まっており、この参加資格の重要性は一層増しています。

また、公共工事においては、総合評価落札方式が広く採用されており、この際の評価項目として経営事項審査の点数が重要な要素となっています。高得点を獲得することで、より有利な条件で入札に参加できる可能性が高まります。

さらに、一般競争入札の参加要件としても経審点数が活用されており、一定以上の点数を有することで、より規模の大きな工事への参加機会が得られます。このため、企業の成長戦略を考える上でも、経営事項審査の点数向上は重要な経営課題となっています。 

企業評価の客観的な指標獲得

経営事項審査の結果は、建設業者の技術力や経営力を示す客観的な指標として広く認知されています。これにより、民間工事の受注においても、発注者からの信頼を得やすくなります。

経審の評価項目には、完成工事高や技術者数といった定量的な指標だけでなく、経営状況や社会性など、企業としての総合的な能力が反映されています。このため、取引先や金融機関との関係においても、企業の信用力を示す重要な資料として活用することができます。

特に、新規取引先との関係構築において、経審の評価結果は企業の実力を示す客観的な証明となります。経審点数が高い企業は、技術力や経営の安定性が認められた企業として、発注者からの信頼を得やすい傾向にあります。

また、建設業界における企業間の相対的な位置づけを把握する上でも、経審点数は有用な指標となっていて、同業他社との比較を通じて、自社の強みや改善すべき点を明確に認識することができます。 

経営状況の把握と経営改善への活用

経営事項審査の評価項目を分析することで、自社の強みや改善が必要な分野を明確に把握することができます。これにより、計画的な経営改善や事業戦略の立案に活用することが可能です。

評価項目ごとの詳細な分析を行うことで、例えば技術者の育成が必要な分野や、財務体質の改善が求められる部分など、具体的な課題が明らかになります。この分析結果を基に、優先順位をつけた改善計画を策定することで、効率的な経営改善を進めることができます。

また、定期的に経審を受けることで、経営改善の成果を定量的に確認することができます。これにより、PDCAサイクルを確実に回し、継続的な企業価値の向上につなげることが可能となります。

さらに、経営事項審査の評価項目は、建設業界における重要な経営指標を網羅しています。これらの項目に着目して経営改善を進めることで、バランスの取れた企業成長を実現することができます。

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経営事項審査の流れ

経営事項審査の申請手続きは、以下の流れとなります。

  1. 建設業許可の受領
  2. 決算変更届の提出
  3. 経営状況分析申請
  4. 経営規模等評価申請
  5. 経営事項審査の結果通知の受領

建設業許可については、経営事項審査の前提条件として上述しました。また、建設業法第27条の25には、国土交通大臣又は都道府県知事は、「4.経営規模等評価申請」をした建設業者から請求があった場合には、経営状況分析の結果に係る数値と経営規模等評価の結果に係る数値を用いて、客観的事項の全体についての評定結果に係る数値、後述の「総合評定値(P)」を通知しなければならないとされています。つまり、経営事項審査を行うという事です。

(経営状況分析の結果の通知)

第二十七条の二十五

登録経営状況分析機関は、経営状況分析を行つたときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、当該経営状況分析の申請をした建設業者に対して、当該経営状況分析の結果に係る数値を通知しなければならない。

建設業法第27条の25:https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000100#Mp-Ch42-At2725

以下では、2~4のそれぞれの段階での必要な書類や手続きについて、詳しく説明します。

決算変更届の提出

決算変更届は、建設業者が毎事業年度終了後に提出する必要がある重要な書類です。この届出により、最新の経営状況を許可行政庁に報告することになります。提出期限は決算日から4ヶ月以内と定められており、厳格な期限管理が求められます。

決算変更届の書類は次の通りです。

  • 変更届出書
  • ⼯事経歴書
  • 直前3年の⼯事施⼯⾦額
  • 財務諸表(貸借対照表、損益計算書、注記表、付属明細表、株主資本等変動計算書)
  • 納税証明書
  • 事業報告書(様式は任意、株式会社のみ)

また、次の情報は年度内に変更があった場合にのみ、決算変更届と⼀緒に提出します。

  • 使⽤⼈数
  • 建設業法施行令第3条の規定する使⽤⼈(支店や営業所の代表者)の⼀覧表
  • 定款
  • 社会保険への加⼊状況 

【関連記事】建設業「決算変更届」の書き方ガイド|様式一覧・納税証明書・提出期限4カ月ルールを完全解説

経営状況分析申請

経営状況分析申請とは、建設業者の財務諸表を基に企業の経営状態を客観的に評価し、分析経営状況評点(下記Y)を算出するための申請のことです。この分析は、国土交通大臣の登録を受けた経営状況分析機関が実施します。

経営状況分析申請の必要書類は以下のとおりです。このうち、財務諸表は決算変更届と同じものです。

  • 経営状況分析申請書
  • 財務諸表
  • 税務申告書別表16 (1,2,4,7,8):当期原価償却実施額がわかるもの
  • 建設業許可通知書または建設業許可証明書
  • 兼業事業売上報告書:兼業売上がある場合
  • 有価証券報告書の連結財務諸表:作成義務がある会社
  • 委任状:行政書士等に代理申請を依頼した場合 

分析終了後、経営状況分析結果通知書が登録機関から届きます。 

経営規模等評価申請

経営規模等評価申請は、経営状況分析の結果を受けて行う本審査の申請段階です。この段階では、後述する総合評定値(P)の構成要素の内、分析経営状況評点(Y)を除く、残りの全ての要素の評価、具体的には完成工事高、技術職員数、労働福祉の状況、安全衛生管理の状況、建設機械の保有状況など、多岐にわたる評価が行われます。

  • 経営規模等評価申請の必要書類は以下のとおりです。
  • 経営規模等評価申請書・総合評定値請求書
  • 工事種類別完成工事高・工事種類別元請完成工事高
  • 技術職員名簿
  • その他審査項目に係る各種証明書類(雇用保険の確認書類/労働保険概算・確定保険料申告書など)
  • 消費税確定申告書の写し
  • 消費税納税証明書その1
  • 工事経歴書:決算変更届と同じもの
  • 工事経歴書に記載した工事の請負契約書または注文書・請書などの写し
  • 経営状況分析結果通知書

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経営事項審査の点数計算

以下では、経営事項審査の点数の計算方法について、詳細に説明します。

経営事項審査における総合評定値Pは、完成工事高評点X1、経営規模評点X2、経営状況評点Y、技術力評点Z、そして社会性等評点Wの5つの評価要素から構成されています。これらの要素は、建設業者としての実力を多角的に評価するために設定されており、それぞれが企業の異なる側面を評価する重要な指標となっています。これらの要素に対して、以下の計算式で総合評定値Pが算出されます。 

P = 0.25×X1 + 0.15×X2 + 0.2×Y + 0.25×Z + 0.15×W 

各要素の係数からも分かるように、特に完成工事高評点X1と技術力評点Zが総合評定値に大きな影響を与えます。この配分は、実際の工事実績と技術力を重視する評価体系となっていることを示しています。

理論上総合評定値Pは最高点は2,143点、最低点が-18点となっています。一般的な建設業者の平均的な総合評定値(P)は700点程度とされており、800点から優秀、1,000点を超える企業は極めて優良な経営状態にあると評価されます。 

完成工事高評点X1

完成工事高評点X1は、申請者の完成工事高を評価する指標です。具体的には、直前2年間または3年間の完成工事高の年間平均値が基準となります。完成工事高が多いほど高得点となり、1,000万円未満から1,000億円以上までの42区分に分けて、業種ごとに評点テーブルが設定されています。

また、ある業種の完成工事高を、その内容に応じて、他の業種の完成工事高に積み上げて申請することができるので、 他の業種の完成工事高に積み上げて申請することで、評点アップが期待できます。

このように、完成工事高が多いほど高得点となりますが、急激な売上拡大は経営リスクを伴う可能性もあるため、自社の経営資源や技術力を考慮しながら、段階的に取り組むことが推奨されます。また、工事代金の回収状況や利益率なども併せて管理することが重要です。 

経営規模評点X2

経営規模評点X2は、自己資本額点数と平均利益額点数から算出します。

経営規模評点X2=(自己資本額点数+平均利益額点数)/ 2 

自己資本額は、貸借対照表上の純資産合計で、2年平均するかしないかを選択できます。自己資本額点数は、これに対し、0.1億円未満から3,000億円以上までの47区分に分けて評点テーブルが設定されています。自己資本額は、利益の内部留保や増資などにより計画的に強化していくことが重要です。自己資本の充実は、企業の安定性を高めるだけでなく、金融機関からの評価向上にもつながります。

平均利益額は、利払前税引前償却前利益の2期平均値(審査基準年と前期の平均値)で、利払前税引前償却前利益は、下記計算式で算出します。

利払前税引前償却前利益=営業利益+ 減価償却実施額

平均利益額点数は、これに対し、0.1億円未満から3,000億円以上までの37区分に分けて評点テーブルが設定されています。 

経営状況評点Y

経営状況評点Yは、企業の財務内容を評価する指標です。具体的には、負債抵抗力、収益性・効率性、財務健全性、絶対的力量の4つについて、それぞれ2指標ずつ、合計8指標から経営状況評点Yを算出します。

経営状況評点Y=167.3×A(経営状況点数)+583
経営状況点数A
= -0.4650X1 - 0.0508X2 + 0.0264X3 + 0.0277X4 + 0.0011X5 + 0.0089X6 + 0.0818X7 + 0.0172X8 + 0.1906

ここで

X1:純支払利息比率:(支払利息-受取利息配当金)/売上高×100 [%]

X2:負債回転期間:負債合計/(売上高÷12) [ヶ月]

X3:総資本売上総利益率:負債合計/(売上高÷12)[%]

X4:売上高経常利益率:経常利益/売上高×100 [%]

X5:自己資本対固定資産比率:自己資本/固定資産×100 [%]

X6:自己資本比率:自己資本/総資本×100 [%]

X7:営業キャッシュフロー(絶対額):営業キャッシュフロー(二期平均)/1億 [億円]

X8:利益剰余金(絶対額):利益剰余金/1億 [億円] 

これらの指標は、企業の収益性、安全性、成長性を総合的に評価するものです。 

技術力評点Z

技術力評点Zは、技術力を審査する評点で、技術者の資格と元請完工高から、業種区分ごとに評点を算出します。

技術力評点Z=((技術職員数点数Z1×4)+元請完工高点数Z2)/5

ここで、技術職員数点数は、資格区分に基づいて、技術職員数値を算出後、算出テーブルに当てはめて算出します。技術職員数値は、一級監理受講者・1級技術者・監理技術者補佐・ 基幹技能者・二級技術者・その他技術者の人数で決定します。

技術職員数値=G1 × 6+G2 × 5+G3 × 4+G4 × 3+G5 × 2+G6 × 1

ここで

G1 : 一級監理受講者の人数(6点)

G2 : 1級技術者であって一級監理受講者以外の者の人数(5点)

G3 : 監理技術者を補佐する資格を有するものの人数(4点)

G4 : 基幹技能者であって一級技術者以外の者の人数(3点)

G5 : 二級技術者の人数(2点)

G6 : その他技術者の人数(1点)

なお、一人の職員について技術職員として申請できる業種区分は二つまでで、雇用期間は6ヶ月超となっています。 

元請完成工事高点数は、平均年数は1年、3年のどちらかを対象にし、0.1億円未満から1,000億円以上までの42区分に分けて評点テーブルが設定されています。

また、技術職員の育成は一朝一夕にはいきませんが、計画的な資格取得支援と、技術力向上のための研修制度の充実が求められます。特に、1級土木施工管理技士や1級建築施工管理技士などの国家資格は、評価が高く重要です。

さらに、若手技術者の採用・育成も重要な課題となります。熟練技術者から若手への技術伝承を計画的に進め、将来的な技術力の維持・向上を図ることが必要です。

社会性等評点W

社会性等評点Wは、建設業者としての社会貢献度や法令遵守状況を評価する指標で、以下の計算式で算出します。

その他評点W=(担い手の育成及び確保に関する取組の状況W1 + 営業継続点数W2 + 防災協定点数W3 + 法令遵守点数 W4 + 建設業経理点数W5 + 研究開発点数W6 + 建設機械保有点数W7 + 国又は国際標準化機構が定めた規格による登録状況W8)×(1,750/200)

ここで

担い手の育成及び確保に関する取組の状況W1:雇用保険/健康保険/厚生年金保険/建退共の加入状況 等

営業継続点数W2:営業年数点数+民事再生法・会社更生法の適用有無点数

防災協定点数W3:防災協定締結の有無

法令遵守点数W4:営業停止処分/指示処分の有無

建設業経理点数W5:監査の受審状況点数 + 公認会計士等数点数

研究開発点数W6:研究開発費の金額を2期平均値で評価し、0.5億円未満から100億円以上まで26段階で評点される

建設機械保有点数W7:建設機械の保有台数で加算される

国又は国際標準化機構が定めた規格による登録状況W8:ISO9001、ISO14001、エコアクション21に登録している場合に加点される(ISO14001を取得している場合はエコアクション21は追加されない)

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経営事項審査の点数アップ方法

経営事項審査の点数は企業の信頼性や競争力を示す重要な指標です。以下のような方法で、審査点数の向上が期待できます。 

完成工事高の配分の工夫でX評点を上げる

まず、「工事進行基準」を用いて完成工事高を計上する方法があります。通常は「工事完成基準」を用い、完成工事高は工事が完了した時に初めて収益として計上されます。これを工事の進行状況に合わせて完成工事高を計上する会計方法である「工事進行基準」を用いれば、少しでも審査年度の完成工事高を上げることができます。

次に、完成工事高の業種間振替(積み上げ)を活用する方法です。経営事項審査においては、特定の専門工事の完成工事高を関連する一式工事、または関連する専門工事に振替る事が出来ます。これを上手く活用すれば狙った業種で評点アップが狙えます。ただし、自治体によって振替が認められる業種が決められていますので、事前に確認が必要です。

財務体質を改善してY評点を上げる

経営状況評点Yを向上させるためには、財務体質の改善が不可欠です。利益を徹底的に追及する事で利益率を上げ、かつ自己資本比率も向上させ、無借金経営を目指すことが必要です。

Y評点をあげるための具体的な方法を5つ挙げます。

  • 支払利息を下げて受取利息を正確に計上する
  • 負債を減らす(借入金の返済)
  • 利益を徹底して追及する
  • 固定資産を減らす(リースの活用)
  • 資本金を増やす(増資) 

技術者の育成と資格取得支援でZ評点を上げる

技術力評点を向上させるためには、技術者の育成が重要です。1級建設業経理士や1級土木施工管理技士などの資格取得を支援し、有資格者を増やすことで点数アップが期待できます。また、既に1級技術者がいる場合、必ずその技術職員に管理技術者講習を受講させましょう。管理技術者資格者証を保有している1級技術者には1点の上乗せがあります。1日講習を受けるだけで加点されるので、受講されていない場合はぜひ検討しましょう。

資格取得支援制度の整備や、資格手当の充実など、従業員のモチベーション向上につながる施策も効果的です。資格取得のための講習会費用の補助や、学習時間の確保など、具体的な支援策を講じることが重要です。

また、若手技術者を積極的に採用し、OJTを通じた技術の伝承も重要な取り組みとなります。ベテラン技術者と若手技術者のペア制度を導入するなど、効果的な育成方法を検討することが必要です。 以下の記事では、経審における資格別の点数や点数アップのポイントについてまとめているので、Z評点を上げていきたい方はぜひご覧ください。

【関連記事】建設業の経営審査(経審)資格点数一覧|点数アップのポイントと資格取得戦略【2025年最新版】

W評点を上げる方法

いくつかある施策の内、比較的取り組みやすいW評点アップの方法を3つご紹介します。

まず、加点される社会保険制度に加入することです。そのうち、建設業退職金共済制度、退職一時金制度若しくは企業年金制度、法定外労働災害補償制度の3つに加入もしくは制度を備えている場合にはそれぞれ15点の加点があります。

次に、防災協定を締結することです。締結している場合は20点の加点がありますが、自治体と単独で防災協定を締結できるのは、大企業に限られます。しかし中小企業であっても事業者が所属する団体が防災協定を締結している場合に、この防災協定の締結が認められるケースがありますので、防災協定を締結している関連団体を調べて加入を検討することも必要です。

3つ目は建設業経理士2級を取得することです。W評点には「建設業の経理に関する状況」という審査項目があり、公認会計者や税理士、建設業経理士の資格保有者に加点があります。公認会計士や税理士のような超難関資格は取得は難しいですが、建設業経理士2級であれば、比較的簡単に取得できて加点されるので狙い目です。 

まとめ:経営事項審査と経営改善の両立に向けて

本記事では、経営事項審査の概要から、点数の計算方法や点数を上げるための方法までを解説しました。経営事項審査は、公共工事における競争入札に参加するためには欠かせないもので、審査を通じて企業の実力や信頼性を示すことが可能です。

経営事項審査の点数アップには、日々の経営管理が重要な鍵を握ります。特に、経営状況分析機関への財務諸表の提出に際しては、正確な経営データの把握が不可欠ですが、これをExcelで行うのは難しく、手間もかかります。

この点で、弊社の提供している施工管理アプリ「サクミル」は、経営に必要な情報を一元管理し、視覚的に表示するダッシュボード機能を提供していて、売上・粗利の推移、案件別の収支、従業員の稼働時間など、経営に必要な情報がリアルタイムで確認できます。

工事案件ごとの収支管理や原価管理も容易で、不採算工事の早期発見や対策が可能となります。また、従業員の稼働状況を把握することで、適切な人員配置や業務の効率化にも活用できます。

さらに、各種帳票の自動作成機能により、事務作業の効率化も図れ、これにより経営管理に割ける時間が増え、より戦略的な経営判断が可能となります。

サクミルのような管理ツールを活用することで、より効率的かつ効果的な経営改善を実現することができるでしょう。2ヶ月の無料トライアルがあるので気になった方は以下のリンクから詳しく確認してみてください。 

サクミル公式サイト:https://sakumiru.jp/

監修者

小島 愛一郎(こじま あいいちろう)

小島 愛一郎(こじま あいいちろう)

前サン・アクト株式会社代表取締役/現フリーランスライター。アメリカでMBAを取得後、ホテル業界を経て、環境・緑化分野に特化したベンチャー企業、サン・アクト株式会社に参画。20年以上にわたり、建設業の中でも環境・緑化分野に特化し、寺社仏閣や公共施設の樹木保全、緑化資材の開発・販売に従事してきた。2001年にはベンチャーキャピタルからの出資を受け、代表取締役に就任。2019年に食道がんを発症し代表職を退任。治療に専念し、無事完治。現在は、フリーランスライターとして、経営・財務・法務の実務経験を活かし、執筆活動を行っている。

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