サクミル
建設業の倒産件数と5つの倒産理由【2026年最新】増加は下請・専門工事に集中
現場/施工管理
|公開日: 2026.09.01

建設業の倒産件数と5つの倒産理由【2026年最新】増加は下請・専門工事に集中


その工事、いま黒字ですか?

資材も人件費も動く時代に、完工まで利益が見えない状態は経営リスクです。 サクミルなら工事ごとの原価と粗利がリアルタイムで分かります。 2か月間の無料トライアルは自動課金なし。

2026年8月の建設業の倒産は182件。前年同月の154件から18.2%増え、企業倒産全体の22.0%を建設業が占めました。なかでも大工工事や土工・コンクリート工事などの職別工事は67件から86件へ増えています。

ただ、この記事でいちばんお伝えしたいのは件数そのものではありません。倒産の引き金を業種別にたどると、建設業に共通する一点にたどり着きます。「受注はあるのに、利益が残らない」という構造です。

本記事では、帝国データバンクと東京商工リサーチの最新集計をもとに、建設業の倒産件数の推移、いま特に件数が伸びている業種、増加の理由を整理します。そのうえで、中小の建設会社が今日から打てる対策までを解説します。

【2026年8月時点のまとめ】「建設業の倒産」とは、建設会社が支払い不能に陥って法的整理に至ることを指し、帝国データバンクと東京商工リサーチが月次で件数を集計・公表しています。2026年の特徴は3つです。①件数は3カ月連続で前年を上回っている ②増えているのは大手ゼネコンではなく下請・専門工事と中小工務店 ③引き金は資材と人件費の同時上昇。

項目

2026年8月

前年同月

前年同月比

建設業の倒産件数

182件

154件

+18.2%

全業種の倒産件数

827件

751件

+10.1%

倒産全体に占める建設業の割合

22.0%

20.5%

+1.5ポイント

最も増えた業態

職別工事 86件

67件

+19件

全業種の1〜8月累計

7,199件

6,710件

+7.3%

数値の出典は帝国データバンク「倒産集計 2026年8月報」(負債1,000万円以上・法的整理)。構成比は同社公表の件数から算出しています。本記事は月次で更新しており、次回更新は2026年10月上旬(9月報の発表後)を予定しています。

建設業の倒産件数【2026年8月の最新データ】

まず、直近の実数を確認します。数字はいずれも帝国データバンク「倒産集計 2026年8月報」(負債1,000万円以上・法的整理)によるものです。

全国827件のうち建設業は182件、前年同月比18.2%増

2026年8月の企業倒産は全国で827件。前年同月の751件から10.1%増え、3カ月連続で前年を上回りました。負債総額も1,406億9,200万円と、前年同月の1,129億3,600万円から24.6%増え、こちらは6カ月連続の増加です。

このうち建設業は182件。前年同月の154件から28件、率にして18.2%の増加でした。全体の増加率10.1%を上回るペースです。

建設業の月次倒産件数と前年同月比(2026年1〜8月)。8月は前年同月の154件から182件へ18.2%増加した

月次で並べると、建設業の倒産が前年を上回ったのは8か月中6か月。前年割れは1月(▲10.6%)と5月(▲2.5%)だけで、6月以降は3カ月連続で増えています。1〜8月の累計では1,321件から1,432件へ、111件の増加です。

業種別に並べると、件数の絶対数ではサービス業223件が最も多く、次いで建設業182件、小売業178件と続きます。増加率ではサービス業21.2%に次いで建設業が18.2%。主要7業種のうち前年を上回ったのは4業種で、すべての業種が悪化しているわけではありません。

業種

2025年8月

2026年8月

増減

前年同月比

建設業

154件

182件

+28件

+18.2%

サービス業

184件

223件

+39件

+21.2%

小売業

162件

178件

+16件

+9.9%

全業種合計

751件

827件

+76件

+10.1%

※帝国データバンクが8月報で件数を公表した業種を抜き出しています。

データ出典:帝国データバンク「倒産集計 2026年8月報」。月次推移のグラフは同社「倒産集計」各月報をもとに作成しています。

7月より件数は減ったが、「落ち着いた」わけではない

7月の1,037件と比べると、8月の827件は210件少なくなっています。ただしこれを「倒産が落ち着いた」と読むのは誤りです。

月次の倒産件数は、その月の営業日数や季節性の影響を直接受けます。とくに8月は夏季休暇をはさむため、例年ほかの月より少なく出る月です。だから月次の倒産件数は、前月比ではなく前年同月比で比べるのが原則になります。

その前年同月比で見ると、8月の827件は前年の751件から10.1%増。帝国データバンクも「8月に800件を超えるのは2012年(851件)以来14年ぶり」と指摘しています。前月より減ったように見えて、8月としては14年ぶりの高水準というのが実態です。

倒産全体に占める建設業の割合は22.0%(前年20.5%)

件数だけを見ると「サービス業のほうが多い」と受け取られがちですが、構成比で見ると建設業の位置づけが変わります。

2025年8月に20.5%だった建設業の構成比は、2026年8月には22.0%へ、1.5ポイント上昇しました。倒産する企業の5社に1社以上が建設業という計算になります。帝国データバンクは、構成比を2.5ポイント上げたサービス業とあわせ、この2業種で倒産全体の約半分を占めると指摘しています。

2026年の月次で追うと、建設業の構成比は1月の17.7%から緩やかに上がり、8月の22.0%は今年の最高値です。件数だけでなく「倒産全体のなかでの重み」も増しています。

「建設業の倒産ラッシュ」は本当か|年次推移で検証

月次の数字は季節要因で振れるため、年単位でも確認しておきます。以下は東京商工リサーチによる建設業の年間倒産件数です(暦年・負債1,000万円以上)。

建設業の倒産件数の推移(2018〜2025年)。2021年の1,065件から2025年の2,014件へ増加

コロナ禍の各種支援策に支えられた2021年の1,065件が2000年以降で最少。そこから4年連続で増え、2025年は2,014件と、2013年(2,421件)以来12年ぶりに2,000件を超えました。2021年比では約1.9倍です。

「倒産ラッシュ」という言葉が実態に沿っているかは受け取り方次第ですが、少なくとも4年で件数がほぼ倍増し、コロナ前(2018年1,431件・2019年1,444件)の水準も上回っていることは事実として押さえておく必要があります。

なお帝国データバンクの集計では2025年の建設業倒産は2,021件(前年比6.9%増)で、東京商工リサーチの2,014件とは若干異なります。両社は集計基準や業種分類が異なるため、件数を比べる際は同じ調査会社の数字どうしで比較するのが原則です。

この違いは月次でも起きます。2026年8月の建設業倒産は両社とも182件で一致した一方、前年同月比は帝国データバンクが18.2%増、東京商工リサーチが4.0%増と大きく差がつきました。件数が同じでも比較の基準(前年同月の分類)が違えば増減率は変わります。推移を追うときは調査会社を固定してください。本記事の月次データは帝国データバンク、年次推移は東京商工リサーチで統一しています。

出典:東京商工リサーチ「2026年8月の全国企業倒産830件」

データ出典:東京商工リサーチ「全国企業倒産状況」/帝国データバンク「建設業の倒産動向(2025年)」(グラフは東京商工リサーチのデータをもとに作成)

倒産より深刻な「休廃業・解散」|撤退はリーマン超えの過去最多

実は、建設業から姿を消す会社の多くは倒産という形をとりません。帝国データバンクの2026年上半期(1〜6月)の集計では、次のようになっています。

区分

2026年上半期

前年同期比

倒産

1,043件

+5.8%

休廃業・解散

4,894件

+27.8%

「撤退」合計

5,937件

上半期として過去最多

倒産の約4.7倍にあたる4,894社が、法的整理ではなく自主的に事業をたたんでいます。倒産と合わせた「撤退」は5,937件となり、リーマン・ショック直後の2009年上半期(5,811件)を超えて上半期として過去最多となりました。

倒産件数だけを追っていると、この動きは見えません。「まだ払えるうちにやめる」という判断が広がっていることは、倒産件数以上に業界の実像を映しています。

出典:帝国データバンク「建設業の倒産・休廃業解散動向(2026年上半期)」

地域別の動向|9地域中4地域で前年を上回る

2026年8月の全産業ベースでは、9地域のうち4地域が前年同月を上回りました。47都道府県では17都府県が前年を超えており、西日本を中心に増加が目立ちます。近畿は229件(前年同月182件)と25.8%増え、3カ月連続で前年を上回るとともに、8月としては直近15年で最多となりました。中部118件(同88件・34.1%増)、九州81件(同59件・37.3%増)が続く一方、四国は11件(同15件・26.7%減)と減少しています。

建設業に限った2025年の地域別では、中部291件(前年比17.8%増)、中国120件(同18.8%増)が伸びた一方、北海道50件(同19.4%減)、九州163件(同3.6%減)、北陸71件(同2.7%減)と減少した地域もあります。全国一律に悪化しているわけではなく、地域差が大きい点は押さえておきたいところです。

その工事、いま黒字ですか?

資材も人件費も動く時代に、完工まで利益が見えない状態は経営リスクです。 サクミルなら工事ごとの原価と粗利がリアルタイムで分かります。 2か月間の無料トライアルは自動課金なし。

増加が集中しているのは下請・専門工事|職別工事は67件から86件へ

建設業を一括りにすると、実態を見誤ります。月報を細分類まで分けて追うと、増えている層とそうでない層がはっきり分かれます。

「職別工事」は月報で繰り返し名指しされている

帝国データバンクは2026年8月の建設業について、「大工工事や土工・コンクリート工事などを含む『職別工事』(同67件→86件)が大きく増加した」と指摘しています。19件増、率にすれば約28%。建設業全体の増加率18.2%を上回るペースです。

重要なのは、これが単月の話ではないことです。帝国データバンクは建設業を「職別工事業」「総合工事業」「設備工事業」の3つに分けて毎月公表しています。2026年1〜8月をすべて並べると、増加が特定の層に偏っていることがはっきりします。

建設業の細分類別・前年同月差(2026年1〜8月)。職別工事業は2月以降ゼロを上回り続け1〜8月累計で85件増、設備工事業は累計で11件減

月

職別工事業

総合工事業

設備工事業

1月

84 → 78

55 → 48

31 → 26

2月

74 → 82

43 → 57

28 → 24

3月

84 → 89

50 → 69

37 → 33

4月

73 → 87

52 → 61

31 → 37

5月

62 → 82

61 → 41

34 → 30

6月

86 → 104

51 → 73

50 → 22

7月

93 → 100

57 → 62

31 → 45

8月

67 → 86

56 → 51

31 → 45

1〜8月
累計

623 → 708(+85)

425 → 462(+37)

273 → 262(▲11)

※単位は件。「前年同月 → 2026年」の順。太字は職別工事業が前年を上回った月。3業態の合計は各月の建設業合計と一致します。

職別工事業は2月から8月まで、7か月連続で前年を上回りました。1〜8月の累計では623件から708件へ、85件(13.6%)の増加です。

ここで注意したいのが設備工事業です。7月・8月は31件→45件と大きく伸びましたが、1〜8月の累計では273件から262件へ、前年を11件下回っています。単月の増加率だけを見ると「設備工事がいちばん危ない」と読めてしまいますが、2026年を通して一貫して増えているのは職別工事業のほうです。細分類は単月の振れが大きいため、累計と合わせて見る必要があります。

総合工事業も1〜8月で425件から462件へ37件増えました。ただしこちらは月ごとの振れが大きく(6月は22件増、5月は20件減)、件数を押し上げているのは3月報・4月報が指摘したとおり木造建築工事、つまり中小の工務店です。職別工事業も木造建築工事も、大手ゼネコンではありません。増えているのは「建設業全体」ではなく、下請・専門工事と中小工務店の層だというのが、月次データの読み方です。

データ出典:帝国データバンク「倒産集計」各月報の業種中分類別集計(1月報/2月報/3月報/4月報/5月報/6月報/7月報/8月報)。グラフは同データをもとに作成。

この見方は年次データとも一致します。東京商工リサーチの集計によれば、2025年の建設業倒産2,014件の内訳は職別工事業814件、総合工事業774件で、2000年以降で初めて職別工事業が総合工事業を上回りました。職別工事業だけで建設業倒産の40.5%を占めます。

東京商工リサーチは、下請色の強い小規模事業者は「価格交渉力が弱く厳しい経営から脱け出すことが難しい」と分析しています。元請から降りてくる金額は据え置きなのに、材料と人の値段だけが上がっていく——下請・専門工事に集中している構図は、まさにここにあります。

木造建築工事業は1〜7月で159件、前年同期比20.5%増

もうひとつ件数が伸びているのが木造建築工事業です。2026年1〜7月に判明した倒産は159件で、前年同期の132件から27件、20.5%増加しました。負債総額は約295億8,400万円にのぼります。

注目すべきはその規模で、負債1億円未満の中小零細事業者が102件と全体の64.2%を占めました。一方で負債10億円超も4件あり、大小を問わず影響が及んでいることがわかります。

また2026年上半期の「倒産・廃業の累計件数」を業態別にみると、左官工事104件(前年同期比67.7%増)、金属製屋根工事50件(同66.7%増)、タイル工事45件(同60.7%増)と、いずれも専門工事の分野で高い増加率が出ています。

逆に、一般土木建築・土木・造園・建築といった総合工事業は「過去20年のスパンで倒産は低水準」と評価されています。つまりいま起きているのは建設業全体の一様な悪化ではなく、下請・専門工事に負荷が集中する構造変化です。

出典:帝国データバンク「木造建築工事業の倒産動向(2026年1-7月)」/東京商工リサーチ「止まらない建設業の倒産、職別工事が総合工事を抜く」

建設業の倒産が増える5つの理由【2026年版】

ここからは「なぜ増えているのか」を、原因別のデータで裏づけながら整理します。

理由1:資材と人件費の高騰|物価高倒産は建設業が業種別最多

最大の要因は、コストの上昇です。2026年上半期(1〜6月)の物価高倒産は556件。前年同期の449件から23.8%増え、半期としては2018年以降の最多を更新しました。この556件を業種別にみると、建設業が151件で最多です。前年同期の118件から約3割増え、こちらも半期として過去最多になりました。

建設業の151件をさらに分けると、総合工事72件・職別工事65件で、総合工事のうち木造建築工事が42件を占めています。元請・下請のどちらか一方ではなく、両方でコスト負けが起きていることがわかります。

要因別では、「原材料」が255件で最多(構成比45.9%)、「人件費」が145件で続きました。資材だけでも人件費だけでもなく、両方が同時に効いているのが2026年の特徴です。

直近の月次でも傾向は続いています。2026年8月の物価高倒産は85件(前年同月76件・11.8%増)で、9カ月連続で前年を上回りました。ただし8月単月の業種別では小売業25件に次いで建設業19件と、この月に限れば建設業は2番手です。単月では業種の順位が入れ替わるため、基調は半期・累計で見るのが確実です。

出典:帝国データバンク「『物価高倒産』の動向(2026年上半期)」/同「倒産集計 2026年8月報」

建設業がこの影響を受けやすいのには理由があります。多くの工事は契約時に金額が決まり、着工から完工まで数カ月から数年かかる。その間に鋼材や木材、住宅設備の価格が上がっても、契約金額は自動では変わりません。見積もりを出した時点の単価と、実際に発注する時点の単価がずれるほど、利益は削られていきます。

理由2:人手不足と賃上げ

2026年8月の人手不足倒産は全国47件で、前年同月の34件から38.2%増え、2カ月ぶりに前年を上回りました。業種別では建設業が14件で最多、サービス業13件が続きます。2026年1〜8月の累計は304件です。

この倒産は小さな会社に集中しています。8月の47件を従業員数別に見ると、10人未満が41件、10人以上50人未満が6件でした。年単位でも、帝国データバンクの集計では建設業の人手不足倒産は2025年に113件(前年99件)と増加しています。さらに従業員の退職をきっかけとする「従業員退職型倒産」は、2026年の7カ月累計で建設業が20件と、初めて20件台に到達しています。

職人が確保できなければ工期は延び、延びれば現場経費が積み上がります。人を引き止めるために賃金を上げれば労務費が膨らむ。人手不足は「受注できない」問題であると同時に、「受注しても儲からない」問題でもあるのが実態です。

理由3:ゼロゼロ融資の返済負担

コロナ禍の実質無利子・無担保融資(いわゆるゼロゼロ融資)を受けた企業の倒産は、2026年8月で47件(前年同月43件・9.3%増)。業種別では建設業と卸売業が各11件で最多となり、小売業9件、サービス業7件が続きました。

返済が本格化するなかで、コスト上昇による資金繰りの悪化が重なると、借入で先送りしてきた問題が表面化します。借入残高そのものより、返済と支払いのタイミングが重なることが直接の引き金になりやすい点に注意が必要です。

理由4:後継者難と経営者の高齢化

2026年8月の後継者難倒産は50件で、前年同月の34件から47.1%増え、3カ月連続で前年を上回りました。業種別では卸売業11件に次いで建設業が10件(製造業も10件)。業歴別では30年以上が23件と、半数近くを占めます。

主因別でも、「経営者の病気、死亡」が30件と前年同月の18件から66.7%増加しました。2026年1〜8月の累計は268件で、前年同期の217件を大きく上回っています。建設業では2025年通年でこの主因による倒産が78件と、2000年以降で最多を記録しました。

業歴別に全体を見ると、2026年8月は業歴30年以上が251件(前年同月224件・12.1%増)。一方で業歴10年未満の新興企業も252件(同209件・20.6%増)あり、老舗と新興の両端で増えています。建設業の2025年では、業歴30年以上が617件で30.5%を占めました。

長く続いてきた会社ほど、経営者個人の勘と人脈に業務が依存しがちです。その人が現場を離れた瞬間に成り立たなくなる——これは業績以前の、事業承継の問題です。

理由5:受注はあるのに利益が残らない「赤字受注」

そして、件数として最も大きいのがこれです。2026年8月の倒産で最も多かった主因は「販売不振」659件(前年同月606件、8.7%増)。販売不振や業界不振などを含む不況型倒産は667件(同621件、7.4%増)で、全体827件の8割を占めます。

建設業の場合、「販売不振」は必ずしも「仕事がない」を意味しません。受注はあっても、その工事が赤字なら会社の体力は減っていくからです。手持ち工事は埋まっているのに現金が増えない、という状態がこれにあたります。

ここまでの5つは、それぞれ別々の話に見えて、最後は一点に集まります。コストが動く前提で、工事ごとの利益を工事の途中で把握できているかどうかです。

倒産する会社に共通するのは「完工まで赤字に気づかない」こと

ここからは、データから読み取れる共通点を掘り下げます。

倒産の主役は中小零細|資本金1,000万円未満が72.8%

2026年8月の倒産を規模別に見ると、負債5,000万円未満が525件で、前年同月の465件から12.9%増えました。資本金別では個人経営と資本金1,000万円未満を合わせて602件、全体の72.8%(同563件・6.9%増)を占めます。

つまり、いま倒産しているのは大手ゼネコンではありません。従業員数名から数十名規模の、地域の工事会社です。帝国データバンクも2026年上半期の分析で「中小工務店と大手ゼネコンの経営格差の鮮明化」を懸念材料に挙げています。

この規模の会社には、専任の経理担当や原価管理の担当者がいないことも珍しくありません。社長が見積もりを書き、現場を回り、夜に請求書をまとめる。数字を見る時間が構造的に確保できないことが、次の問題につながります。

見積時と発注時で原価は動くが、契約金額は動かない

建設業の原価管理が難しい最大の理由は、売上が先に確定し、原価が後から確定するという順序にあります。

見積もりを出した時点では、材料も外注も「このくらいだろう」という想定です。ところが着工後、鋼材が値上がりする、職人が足りずに応援を呼ぶ、追加工事の範囲が曖昧なまま作業が進む。こうして原価は動きますが、契約金額は原則として動きません。

問題は、このズレがいつ見えるかです。すべての請求書が出そろってから集計する運用では、赤字が判明するのは工事が終わったあと。そのときにはもう、打てる手はありません。

逆に、工事が半分進んだ時点で「このままなら200万円の赤字」と分かっていれば、残りの工程で材料の調達先を変える、応援の投入を見直す、追加工事分を発注者と協議する、といった手が打てます。同じ赤字でも、気づくタイミングが違うだけで結果は変わります。

原価管理の考え方と具体的な手順は、建設業の原価管理とは?正しい手順と利益を最大化する5つのポイントで詳しく解説しています。

「入金は遅く、支払いは早い」黒字倒産のメカニズム

もうひとつ、建設業に固有のリスクが資金繰りです。工事代金の入金は完成後・検収後になる一方、材料費や外注費、職人の給与の支払いは工事の進行中に発生します。入金より支払いが先に来るという構造です。

この立て替え期間が長く、金額が大きいほど、手元の現金は薄くなります。決算上は黒字なのに支払いができずに行き詰まる「黒字倒産」が建設業で起きやすいのは、この構造が理由です。

入金サイトや手形慣習、融資の使い方を含めた資金繰りの実務は、建設業の資金繰り徹底ガイドにまとめています。

その工事、いま黒字ですか?

資材も人件費も動く時代に、完工まで利益が見えない状態は経営リスクです。 サクミルなら工事ごとの原価と粗利がリアルタイムで分かります。 2か月間の無料トライアルは自動課金なし。

建設業が倒産を防ぐためにできる4つの対策

ここからは、明日から着手できる順に対策を挙げます。

対策1:工事ごとに実行予算を立てる

まず、見積書とは別に実行予算を作ります。見積書が「発注者に提示する金額」であるのに対し、実行予算は「この工事を実際にいくらで終わらせるか」という社内の目標値です。

材料費・労務費・外注費・経費の4つに分けて積み上げ、見積金額から差し引いた分が目標利益になります。これがないと、そもそも赤字かどうかを判定する基準そのものが存在しません。

作り方の手順は実行予算とは?目的や作り方・エクセルテンプレートも紹介で解説しています。

対策2:実績原価を「工事の進行中」に把握する

実行予算を立てたら、次は実績との差を工事が終わる前に見ることです。ここが対策の本丸になります。

具体的には、次の3つを工事ごとに紐づけます。

見るもの

把握のタイミング

放置したときに起きること

材料の発注額

発注時(請求書到着前)

値上がり分に気づくのが1〜2カ月遅れる

外注の発注額

発注確定時

追加作業分が精算時に初めて判明する

自社職人の投入工数

日報・出面の入力時

手間のかかった現場が「なぜか赤字」で終わる

ポイントは、請求書が届いてから集計するのでは遅いということです。発注した時点で金額は確定しているので、その瞬間に原価として積む。日報や出面も、現場ごとに紐づけて初めて労務費になります。

対策3:価格転嫁の仕組みを使う|改正建設業法とスライド条項

コスト上昇を自社だけで飲み込む必要はありません。制度上の受け皿が用意されています。

民間工事を含む全般:2024年12月に施行された改正建設業法により、請負契約書の法定記載事項に「価格等の変動又は変更に基づく工事内容の変更又は請負代金の額の変更及びその額の算定方法に関する定め」が追加されました(第19条第1項第8号)。あわせて、請負代金や工期に影響を及ぼすおそれのある事象を把握した場合、受注者は契約締結前に注文者へ通知するルールも設けられています。

公共工事:工事請負契約書には全体スライド・単品スライド・インフレスライドの3種類のスライド条項があります。たとえば単品スライドは、工期内に主要な工事材料の価格に著しい変動が生じた場合に請負代金の変更を請求できる仕組みで、対象工事費の1%を超える増加分は発注者が負担します。

いずれも、実際にいくら上がったのかを説明できる資料がなければ協議のテーブルに乗りません。対策2の原価データは、価格転嫁の交渉材料そのものになります。

出典:国土交通省「各種スライド条項(全体スライド、単品スライド、インフレスライド)について」/国土交通省「価格転嫁|第三次・担い手3法」

対策4:3カ月先まで見える資金繰り表を持つ

最後に資金繰りです。工事ごとの入金予定日と、材料・外注・給与の支払予定日を月単位で並べるだけでも、どの月に現金が薄くなるかが事前に分かります。

資金がショートしそうな月が3カ月先に見えていれば、金融機関への相談も、支払条件の交渉も、着工時期の調整も間に合います。当月になってから気づくと、選べる手段は一気に減ります。

原価をリアルタイムで見る体制を、月額9,800円から

ここまで見てきたとおり、2026年の建設業を取り巻く環境で確実に言えることは、「資材と人件費はこれからも動く」という一点です。2026年上半期の物価高倒産で要因別の上位が原材料255件・人件費145件だったこと、そして物価高倒産が9カ月連続で前年を上回っていることを踏まえれば、これは一時的な逆風ではなく前提条件として扱うべきものです。

コストが動く前提に立つと、経営者が持つべき問いは変わります。「今期は黒字か」ではなく、「いま動いている工事は、この瞬間に黒字か」です。

この問いに即答できない状態は、それ自体がリスクです。工事が終わってから赤字と分かる運用は、悪い月が2〜3カ月続いただけで、資金繰りが立ち行かなくなる余地を常に抱えています。倒産の72.8%が資本金1,000万円未満の会社であることを踏まえれば、体力の薄い会社ほど、数字を見る早さで差がつくと言い換えられます。

とはいえ、専任の経理担当を採用する余裕がある会社ばかりではありません。現実的な選択肢は、日々の業務の中で原価が自動的に積み上がる仕組みを持つことです。

建設業向けの現場管理アプリ「サクミル」は、案件管理・見積・請求・日報・出面・写真管理を一元化し、その入力がそのまま工事ごとの原価と粗利にリアルタイムで反映される設計になっています。発注した時点で原価が積まれ、日報を入れた分だけ労務費が乗るため、完工を待たずに「この工事はいま黒字か」が分かります。

料金は月額9,800円〜(税抜)で20アカウントまで、初期費用は0円。20人で使えば1人あたり月500円を切る計算です。2カ月の無料トライアルがあるので、まずは進行中の現場をいくつか登録して、実際の原価が見えるかどうかを試せます。

機能の詳細は実行予算・原価管理の機能ページ、導入前に確認したい点はサクミルの評判・口コミは?料金・メリット・導入の注意点など徹底検証!をご覧ください。

建設業の倒産情報はどこで調べる?

取引先の与信管理や業界動向の把握のために、倒産情報を確認したい場面もあります。信頼できる一次情報源は次のとおりです。

情報源

分かること

費用

帝国データバンク

月次・年次の倒産集計、業種別・要因別・地域別の分析レポート

集計レポートは無料公開

東京商工リサーチ

月次・年次の倒産集計、1952年からの倒産件数・負債額推移

集計レポートは無料公開

官報

破産手続開始決定などの法的整理の公告(個別企業名)

直近90日間は無料

各調査会社の有料サービス

企業名単位の倒産速報、地域別の詳細、与信データ

有料

出典:帝国データバンク「倒産集計 2026年8月報」/東京商工リサーチ「全国企業倒産状況」/官報(内閣府)

「建設業 倒産情報 ○○県」のように地域を絞った企業名レベルの情報は、多くが各調査会社の有料サービスの領域です。無料で追えるのは、本記事で扱ったような集計ベースの動向までと考えておくとよいでしょう。

なお業界全体の需要動向を見るなら、国土交通省が公表する建設工事受注動態統計調査や建設業許可業者数の調査もあわせて確認すると、倒産件数だけでは見えない事業者数の増減が把握できます。

その工事、いま黒字ですか?

資材も人件費も動く時代に、完工まで利益が見えない状態は経営リスクです。 サクミルなら工事ごとの原価と粗利がリアルタイムで分かります。 2か月間の無料トライアルは自動課金なし。

よくある質問

Q. 建設業の倒産件数は2026年も増えていますか?

A. 増えています。2026年8月の建設業の倒産は182件で、前年同月の154件から18.2%増加し、3カ月連続で前年を上回りました。倒産全体に占める建設業の割合も20.5%から22.0%へ上昇しています。年単位でも2021年の1,065件から4年連続で増加し、2025年は2,014件と12年ぶりに2,000件を超えました。

Q. 建設業の倒産が増えている一番の理由は何ですか?

A. 資材と人件費の高騰です。2026年上半期の物価高倒産556件を業種別にみると建設業が151件で最多を記録し、集計開始から初めて500 件を上回り、過去最多を大幅に更新しました。要因別では「原材料」255件、「人件費」145件が上位です。加えて、倒産全体の主因では「販売不振」659件が最多で、受注はあっても利益が残らない状態が広がっています。

Q. 建設業のなかで特に倒産が増えている業種は?

A. 大工工事や土工・コンクリート工事などの職別工事業です。2026年8月は前年同月の67件から86件へ増え、2月から8月まで7か月連続で前年を上回りました。1〜8月の累計は623件から708件へ13.6%増です。一方で設備工事業は7月・8月こそ31件→45件と急増したものの、1〜8月累計では273件から262件へ前年を下回っています。単月の増加率ではなく累計で見ると、一貫して増えているのは職別工事業のほうです。

Q. 2026年8月は前月より倒産件数が減っていますが、倒産は落ち着いたのですか?

A. 落ち着いたとは言えません。8月は営業日数が少なく、倒産件数が構造的に減りやすい月です。前月比ではなく前年同月比で見る必要があります。2026年8月の企業倒産は827件で前年同月の751件から10.1%増加しており、帝国データバンクは「8月に800件を超えるのは2012年以来14年ぶり」と指摘しています。

Q. 建設業の倒産情報はどこで調べられますか?

A. 帝国データバンクと東京商工リサーチが月次・年次の集計レポートを無料で公開しています。個別企業の法的整理は官報の公告で確認できます。企業名単位の速報や地域別の詳細は、各調査会社の有料サービスが中心です。

Q. 中小の建設会社が今日からできる倒産対策は?

A. 工事ごとに実行予算を立て、実績原価を工事の進行中に把握することです。発注した時点で原価に積み、日報・出面を現場に紐づければ、完工を待たずに黒字か赤字かが分かります。あわせて改正建設業法の価格転嫁ルールや公共工事のスライド条項を使い、3カ月先まで見える資金繰り表を持つことが有効です。

まとめ|数字を見る早さが、生き残りを分ける

本記事の要点を整理します。

  • 2026年8月の建設業の倒産は182件・前年同月比18.2%増で3カ月連続の前年超。倒産全体の22.0%を建設業が占める
  • 特に伸びているのは職別工事業。2月から8月まで7か月連続で前年超、1〜8月累計は623件→708件(+13.6%)
  • 一方で設備工事業は累計273件→262件と前年割れ。7月報の「設備工事45%増」は単月の振れで、年間で見れば増えていない
  • 前月の1,037件より減ったのは8月の季節性。判断は前月比ではなく前年同月比で(8月に800件超は14年ぶり)
  • 年次では2021年1,065件 → 2025年2,014件と4年で約1.9倍。12年ぶりに2,000件を超えた
  • 倒産の約4.7倍にあたる4,894社が2026年上半期に休廃業・解散しており、「撤退」は過去最多
  • 主因は物価高(上半期は建設業151件で業種別最多・半期として過去最多)と販売不振(659件)。受注はあるのに利益が残らない構造
  • 倒産の72.8%は資本金1,000万円未満の中小零細

資材価格も人件費も、来年下がるという保証はありません。2026年1〜8月の企業倒産は累計7,199件と前年同期を489件上回っており、帝国データバンクは2年連続で1万件を超える見込みとしています。同社は「さまざまなコストの上昇が見込まれるインフレ経済のなか、価格転嫁による収益力の維持・拡大などの対応力が事業継続の前提となってきている」とも指摘しています。

この環境で会社を守るのは、コストが上がらないことを願うことではなく、上がったときにすぐ気づける状態を作っておくことです。工事ごとの原価と粗利が進行中に見えていれば、赤字は「発見するもの」ではなく「途中で止められるもの」になります。

まずは進行中の現場を1つ選び、実行予算と現時点の実績原価を並べてみてください。その差がすぐに出せないなら、そこが最初に手を入れるべき場所です。

その工事、いま黒字ですか?

資材も人件費も動く時代に、完工まで利益が見えない状態は経営リスクです。 サクミルなら工事ごとの原価と粗利がリアルタイムで分かります。 2か月間の無料トライアルは自動課金なし。

関連記事

毎月200社以上が新規導入!お気軽にお問い合わせください

\★登録後も自動課金なく安心★/

無料で試してみる

※PDF資料「1分でわかるサクミル」

詳しい資料を見る

03-6682-1381

※平日9時~18時(年末年始除く)

1分で分かるサクミル(無料)