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実行予算とは?目的や作り方・エクセルテンプレートも紹介
建設業において、工事の収支を適切に管理することは経営の根幹を支える重要な要素です。その中でも「実行予算」は、工事の採算性を確保し、適切な原価管理を行うための必要不可欠なものとして位置づけられています。
近年、建設業界では人手不足や資材価格の高騰など、さまざまな経営課題に直面しています。特に、原材料費の上昇や人件費の増加は、工事の収益性に大きな影響を与えています。このような状況下で安定した収益を確保するためには、より綿密な予算管理が不可欠となっています。
本記事では、実行予算の基本的な概念や似た用語との違い、作成目的・手順、運用時の注意点、さらには便利なテンプレートや工事管理システムの活用方法まで、詳しく解説していきます。
実行予算とは?
実行予算とは、工事現場ごとの予算管理に使われる具体的な計画書であり、工事の成功を左右する重要な管理ツールです。
実行予算の特徴としてまず挙げられるのが「個別性」です。それぞれの工事現場には固有の条件や要件があり、それに応じて予算を細かく設定する必要があります。例えば、同じ規模の建物を建設する場合でも、地域による労務単価の違いや、地盤条件による基礎工事の違いなどにより、実行予算は大きく異なってきます。
また、実行予算は「柔軟性」を持ち合わせています。工事の進行に伴って発生する予期せぬ状況や設計変更などに対応するため、必要に応じて見直しや修正が可能です。この柔軟性により、現場の実態に即した予算管理が実現できます。
実行予算は単なる金額表ではなく、工事原価の把握、利益目標の設定、作業工程の管理、資材・人員の適切な配置といった、工事マネジメント全体を支える基盤として機能します。これらの具体的な意義については、後段の「建設業で実行予算が重要な理由」で詳しく説明します。
実行予算と似た用語の違い

実行予算と混同されやすい用語に、基本予算、原価管理、積算、見積などがあります。それぞれの違いを整理しておくことで、実行予算の位置付けがより明確になります。
基本予算との違い
基本予算とは、1年間の事業活動全体を対象とした予算のことを指します。実行予算が個別のプロジェクトや工事を対象としているのに対し、基本予算は会社全体の経営計画に基づいて策定されます。主な特徴は以下のとおりです。
- 年度ごとに作成される
- 会社全体の収支を予測
- 長期的な経営戦略に基づく
- 部門別や事業別の予算を含む
基本予算は会社の方向性を示す指針であり、各部門や個別工事の実行予算を策定する際の基礎となります。実行予算は基本予算の枠内で、現場ごとの実態に合わせて精緻化される存在と捉えると整理しやすいでしょう。
原価管理との違い
原価管理とは、建設工事に関わるコストを把握し、適切にコントロールする活動を指します。実行予算が計画段階での予算設定を主な目的としているのに対し、原価管理は実際の建設工事におけるコストの監視と調整に重点を置いています。主な特徴は以下のとおりです。
- 実際のコストを継続的に監視
- 予算と実績の差異分析
- コスト削減の機会を特定
- 利益率の向上を目指す
実行予算は原価管理の「出発点」となる計画書であり、原価管理は実行予算の「実行・検証フェーズ」を担う活動と整理できます。両者は対立する概念ではなく、PDCAサイクルの中で連動するものです。
【関連記事】建設業の原価管理とは?正しい手順と利益を最大化する5つのポイント
積算との違い
積算とは、建設工事において、必要な材料、労務、機械等の数量と単価を算出し、工事全体の概算額を算出する作業を指します。実行予算の作成前に行われる重要なプロセスです。主な特徴を以下に示します。
- 設計図書に基づいて行われる
- 数量の計算と単価の設定を含む
- 工事の規模や難易度を金額で表現
積算が「設計図書から原価を算出する技術的作業」であるのに対し、実行予算は「積算結果を現場の実態に組み換え、目標利益を加味した管理用の計画書」です。正確な積算なしに精度の高い実行予算は作れません。
【関連記事】積算とは?見積との違いや作成方法を解説、積算用ソフトも紹介
見積との違い
見積とは、顧客や発注者に対して提示する工事価格を算出する作業を指します。積算をベースとしつつ、市場動向や競合状況、自社の戦略などを考慮して最終的な価格を決定します。主な特徴は以下のとおりです。
- 利益率の設定を含む
- 競合他社との価格競争を考慮
- 顧客との交渉の基礎となる
- 積算結果を基に作成される
見積は「対顧客に提示する価格」、実行予算は「社内で守るべき原価の上限」です。同じ工事でも、見積金額と実行予算の差額が会社の利益となるため、両者の関係を明確に管理することが重要です。
【関連記事】建設工事の見積書の書き方を解説!項目別に実際の作成画面で紹介
それぞれの用語の違いを表にすると以下のようになります。
種類 | 定義 |
|---|---|
実行予算 | 建設工事の現場ごとに必要な原価を想定して設定される具体的な予算 |
基本予算 | 企業全体の事業計画に基づいて策定される年度単位の予算 |
原価管理 | 工事の実行過程で発生する様々なコストを管理・分析すること |
積算 | 設計図などから材料費や人件費その他経費など、工事にかかる費用を算出する作業 |
見積 | 積算結果に企業の利益を上乗せして発注者へ提示する金額 |
建設業で実行予算が重要な理由
建設業において実行予算を作成することは、単なる事務作業ではなく、工事の収益性確保と経営判断の質を支える重要な活動です。ここでは、実行予算が果たす4つの役割を整理して解説します。
工事ごとの収益性を確保する
実行予算を作成する最大の目的は、工事ごとに目標利益を確保することにあります。営業段階の見積書には会社全体の標準的な原価率や利益率が反映されていますが、実際の現場では立地条件・地盤・季節要因・職人の手配状況などによって、コストが大きくぶれます。
実行予算では、見積を現場の実態に合わせて組み換え、適切な利益率を確保するための基準を設定します。各工程における必要経費を把握し、タイムリーな予算執行を行うことで、工程遅延による追加コストや余剰の発注を防ぎ、計画どおりの収益を実現します。
原価管理・予実管理の基盤になる
実行予算は、現場で発生する材料費・労務費・外注費・経費の予算を細目ごとに設定し、原価管理の出発点となります。実績値と予算を比較することで、コスト超過の兆候を早期に発見でき、その時点で発注先の切り替えや代替工法の検討といった是正措置を打てます。
逆に、実行予算がないまま工事を進めると、利益が出ているのか赤字なのかを把握できないまま完工してしまう恐れがあります。実行予算は「予実管理」と呼ばれる予算実績対比の前提条件であり、原価管理を機能させる土台となる存在です。
経営判断・業績評価の基準になる
個別工事の実行予算は、経営全体の意思決定や業績評価にも活用されます。受注時点で実行予算を作成しておくことで、案件を受注すべきか、どの程度の値引きまでなら採算が取れるかといった経営判断ができます。
また、完工後は予算と実績を比較することで、現場代理人や工事部門の業績を客観的に評価する指標としても機能します。実行予算は単なる現場ツールではなく、経営の意思決定インフラとしての役割も担っているのです。さらに、適切な予算管理ができている企業は、顧客や取引先からの信頼性向上にもつながり、新規受注機会の増加にも寄与します。
人手不足・資材高騰下でのリスク管理を強化する
建設業界では人手不足や資材価格の高騰など、コスト上昇要因が複雑化しています。帝国データバンクの「倒産集計 2024年度上半期報」では、以下のような傾向が報告されています。
- 倒産件数は6半期連続で増加し、2年連続で全業種・全地域が前年同期を上回っている
- 「物価高倒産」は472件発生し、過去最多を大幅に更新
- 「人手不足倒産」は163件発生し、上半期としては初の150件超え
参照:https://www.tdb.co.jp/report/bankruptcy/aggregation/hl-abngvm5/
こうした事業環境下では、実行予算で人員・資材・機械の使用計画を事前に見える化し、相場変動に対する予備費の確保や工程の組み替えを早めに判断することが、リスク管理の要となります。天候不順や資材不足などの問題が発生しても、予め予算内で調整を行い、迅速に対応することが可能です。
実行予算の構成
実行予算は大きく分けて「工事原価」と「現場経費」から構成されています。これらの要素について、詳しく見ていきましょう。

工事原価
工事原価は、直接工事費と間接工事費に分類されます。これらは工事を実施する上で必要不可欠な費用であり、適切な見積もりと管理が求められます。
直接工事費
直接工事費は、工事に直接関係する費用を指し、材料費・労務費・直接経費から構成されます。
①材料費:建設資材費として、コンクリート、鉄筋、型枠材、木材などが含まれます。これらの材料は工事の品質に直接影響を与えるため、適切な予算配分が重要です。また、工具類、保護具、清掃用具などの消耗品費も考慮する必要があります。
②労務費:建設作業員の賃金や職人の人件費、さらには残業手当なども含まれます。近年の人手不足により労務費は上昇傾向にあり、予算策定時には特に注意が必要です。
③直接経費:特許使用料、水道光熱電力料、機械経費の3つが含まれます。なお、水道光熱電力料に含まれるのは実際の使用量のみで、基本料金分は間接工事費に該当します。また、機械経費には機械の整備や修理費、運転のための労務費、償却費などが含まれます。
種類 | 詳細 |
|---|---|
材料費 | 建設資材費(コンクリート、鉄筋、型枠材、木材等) |
労務費 | 建設作業員の賃金や職人の人件費、残業手当 |
直接経費 | 特許使用料 |
間接工事費
間接工事費は共通費とも呼ばれ、工事全体をサポートするために必要な、間接的に発生する費用を指します。間接工事費には共通仮設費、現場管理費、一般管理費が含まれます。
①共通仮設費:工事現場に設置する足場や仮囲いなどにかかる費用で、足場の設置費用には、組立・解体費用やリース料、定期的な安全点検費用などが含まれます。また、建物や周辺環境を保護するための養生費用も必要です。防護ネットやシート、各種警告表示の設置など、安全管理のための投資は欠かせません。
また、環境対策費も現代の建設現場では欠かせない要素です。騒音対策として防音壁の設置や定期的な騒音測定、近隣への対策費用が必要となります。また、粉塵対策として散水設備や集塵機の設置、作業員用のマスク類なども必要です。振動対策についても、防振設備の設置や定期的な測定、場合によっては補償費用なども考慮する必要があります。
②現場管理費:工事現場を管理するために必要なコストのことで、建設作業員の労務管理費用、作業服や作業用具、安全や衛生に関わる研修や安全訓練にかかる費用などを含みます。
③一般管理費:工事進行のサポートや広告費などに必要な費用です。
種類 | 詳細 |
|---|---|
共通仮設費 | 工事現場に設置する足場や仮囲いなどにかかる費用 |
現場管理費 | 建設作業員の労務管理費用、安全や衛生に関わる研修や安全訓練にかかる費用など |
一般管理費 | 工事進行のサポートや広告費など |
現場管理費の詳細な内訳や、一般管理費との具体的な違いについては、以下の関連記事もあわせてご参照ください。
【関連記事】現場管理費とは?一般管理費との違いや内訳、計算方法まで徹底解説
現場経費
現場経費は、工事現場の円滑な運営に必要不可欠な諸経費で、給料、保険料、地代家賃、旅費交通費、通信費、事務用品費等で構成されます。
①給料:工事現場に勤務する社員の給料、残業代などです。
②保険料:火災保険や労災保険などの保険料を含みます。
③地代家賃:現場事務所や現場作業員の住居などにかかる地代家賃です。
④旅費交通費:現場、本社、部材等の製造所までの移動にかかる費用や、社員の駐車場料金など。
⑤通信費:現場と本社、部材等の製造所間との連絡に必要な電話代、郵便料、インターネット料金など。
⑥事務用品費:現場事務所の事務作業に使用する事務用品費。
種類 | 詳細 |
|---|---|
給料 | 工事現場に勤務する社員の給料 |
保険料 | 火災保険や労災保険などの保険料 |
地代家賃 | 現場事務所や現場作業員の住居などにかかる地代家賃 |
旅費交通費 | 現場までの移動にかかる費用や駐車場など |
通信費 | 連絡やインターネット利用などにかかる通信費 |
事務用品費 | 現場事務所の事務作業に使用する事務用品費 |
実行予算の作成手順【5ステップ】
ここからは、実行予算の具体的な作成方法を5つのステップに分けて説明します。一般的には工事の受注後・着工前のタイミングで作成し、着工後は工程の進捗にあわせて見直し・更新を繰り返す運用が基本です。
①予算作成者を決定する
予算作成者の選定は、実行予算の精度と実効性に大きく影響します。理想的な予算作成者は、工事内容に精通し、原価管理の実務経験を持ち、会計知識も備えている人物です。また、関連法規についても深い理解が必要です。
特に重要なのが数値分析能力です。予算作成者は、過去の実績データや市場動向を分析し、適切な予算を策定する能力が求められます。また、様々な部署や協力会社とのコミュニケーションも必要となるため、優れたコミュニケーション能力も不可欠です。
予算作成者には、適切な権限と責任も付与する必要があります。予算編成の権限、実行管理の責任、必要に応じた是正措置を講じる権限などが含まれます。また、定期的な報告義務を課すことで、予算の執行状況を適切に管理することができます。
②見積書から工事項目を洗い出す
予算作成者が決まったら、まずは見積書を起点に工事に必要な項目を網羅的に洗い出します。図面・仕様書・現地調査結果と照らし合わせながら、見積書に計上されている工種・材料・労務・外注内容に漏れや過不足がないかを確認します。
特に重要なのは「数量」の確認です。見積書に記載されている数量は、設計図書から拾った設計数量である場合が多く、実際の発注では端材・ロス分・養生用などを加味した所要数量が必要になります。設計数量のまま予算化すると、現場で材料不足が起きたり、追加発注で原価が膨らんだりするリスクがあります。
また、工種別・工程別に項目を整理しておくと、後段のモニタリング段階で予実差異を分析しやすくなります。工事の規模が大きいほど、この段階での項目整理が後の管理コストを大きく左右します。
③実行予算案を作成する(組み換え・単価検証)
洗い出した工事項目をもとに、実行予算案を作成します。見積書からの組み換えは、以下の手順を慎重に行う必要があります。
①見積書の内容を詳細に確認:図面との整合性をチェックし、数量計算の検証を行います。特に単位の確認や計算ミスの防止は重要です。
②単価の妥当性チェック:市場価格との比較や過去実績との照合を行い、適正な単価であるかを確認します。また、季節による価格変動なども考慮に入れる必要があります。値引きの可能性についても検討し、コスト削減の機会を見逃さないようにします。
③工種別の分類:工事区分を明確化し、作業内容を整理することで、より正確な予算立てが可能となります。また、工程順序を確認し、関連する作業を把握することで、スムーズな工事進行を実現できます。
④関係部署と調整・決裁する
実行予算案を作成した後は、社内の上層部や工事責任者との調整や承認が必要です。実行予算案の調整では、まず社内での綿密な検討が必要です。
①工事部門との調整:技術的な実現可能性や必要な人員・機材の確保について確認します。また、工期の妥当性についても慎重に検討する必要があります。
②経理部門との調整:資金計画との整合性を確認し、経費基準や税務上の考慮事項についても確認が必要です。会計処理の方法についても、あらかじめ明確にしておくことが重要です。
③購買部門との協議:材料調達計画や仕入先の選定について詳細な検討を行います。価格交渉の方針を定め、納期についても確実な確認を行います。これにより、工事期間中の安定した資材供給を確保することができます。
これらの調整を経た後、社内の上層部の決裁を受け、実行予算が決定されます。
⑤工程に沿ってモニタリング・更新する
実行予算は作成して終わりではなく、工事の進捗に合わせて予実差異をモニタリングし、必要に応じて更新する運用が前提です。工程の節目や月次・週次でタイミングを決め、実際に発生したコストを実行予算と突き合わせます。
差異が大きい工種があれば、その原因(数量増・単価上昇・追加工事・工期遅延など)を特定し、残工程への影響を早期に把握します。差異が解消可能なら是正措置を、解消できないなら残工程の予算を組み換えて利益確保の打ち手を検討します。
モニタリングと更新を紙やExcelで行うと、データ集計だけで現場代理人の負荷が大きくなりがちです。後述する工事管理システムを使えば、現場での日々の入力データから予実差異がリアルタイムで可視化され、判断スピードを上げられます。
実行予算を作成する際の注意点
実行予算は工事の収益性を左右する重要な計画書ですが、運用を誤ると予算と実態の乖離が大きくなり、原価管理が機能しなくなります。ここでは、現場でよく問題になるポイントを6つにまとめて解説します。
見積書との整合性を保つ
実行予算は見積書を出発点に作成しますが、社内の組み換え過程で項目が省略されたり、現場独自の追加項目が混入したりすると、後で予実比較や追加変更精算ができなくなります。
見積書の工種・数量・単価との対応関係をトレースできるよう、項目コードや採番ルールを揃えておくことが重要です。見積と実行予算の差額(社内的に確保されたバッファ)も、どの項目に何円分含まれているのかを記録しておくと、後の値引き交渉や追加見積の根拠資料として活用できます。
設計数量と所要数量の差を考慮する
見積書や設計図書に記載される「設計数量」は、設計上必要な数量であり、現場で実際に発注・搬入する「所要数量」とは一致しません。コンクリートのロス・型枠の流用・鉄筋の定尺切断による端材・養生材の重ね張り分など、工種ごとに数量が膨らむ要因があります。
設計数量のまま実行予算を組むと、材料費の不足や追加発注による原価超過が発生します。過去の同種工事の実績データから、工種ごとの所要数量倍率(割増率)を整理しておき、現場条件に応じて反映する運用が望ましいです。
追加工事・変更工事の予備費を想定する
工事が進む中で、設計変更・天候不順・地盤の想定外条件・近隣対応など、当初の見積では織り込めなかった追加コストが発生することは珍しくありません。
こうした不確定要因に備え、実行予算には工事原価の5〜10%程度を予備費として確保しておくのが一般的です。地下工事や改修工事、特殊条件の現場などリスクの大きい案件ではさらに高めに設定します。予備費の使い道は事前にルール化し、安易に通常の経費に流用しない統制も併せて整備しておきましょう。
外注先との契約条件を事前に確認する
実行予算における外注費は、契約条件によって金額や精算方法が大きく変わります。一式請負か単価精算か、追加工事の単価はどう設定するか、支払サイトは何日か、資材支給の有無、現場経費(仮設使用料・産廃処理)の負担区分など、契約条件を事前に詰めずに予算化すると、後でトラブルや原価超過が発生します。
主要な外注先には、実行予算作成段階で契約書の確認や見積依頼を行い、想定どおりの条件で発注できるかを検証してから予算を確定させることが重要です。
予実差異をリアルタイムで把握する
実行予算が機能するのは、実績との差異が早期に把握され、是正措置が打てる場合だけです。月次決算のタイミングで初めて予実差を確認するような運用では、すでに工程の大半が終わっていて打ち手が限られます。
工事規模に応じて、週次や工程節目(基礎完了・上棟・内装着手など)ごとに予実差異をチェックする頻度を決めましょう。紙やExcelでは集計に時間がかかり遅延が発生しがちなので、工事管理システムを活用して現場での入力→自動集計→経営層への共有を仕組み化することが望ましいです。
現場責任者に予算を周知する
実行予算は、予算作成者だけが内容を把握していても現場で守られません。現場代理人・職長・主要な協力会社まで、工種別の予算枠と注意点を共有しておく必要があります。
共有しないまま発注を任せると、現場の判断で安易な追加発注や納期優先での割高仕入れが発生し、予算が守られない事態を招きます。着工前のキックオフミーティングで実行予算の要点を説明し、月次会議で進捗と予実差異をフィードバックする運用ルールを定着させましょう。
実行予算の作成ツール
実行予算の作成には様々なツールが活用されています。それぞれのツールの特徴と活用方法について、詳しく見ていきましょう。
紙での作成
紙を使用した実行予算の作成は、長い間一般的に行われてきました。この方法にはいくつかの利点と欠点があります。
まず、メリットとしては、初期コストが低く、特別な機器やソフトウェアを購入する必要がないため、導入しやすい点が挙げられます。また、紙を使うことで、慣れ親しんだ方法で直感的に作業ができ、電源を必要としないため、停電時でも問題なく作業を進めることが可能です。
一方で、デメリットもいくつか存在します。まず、誤りがあった場合には全体を書き直す必要があり、修正が困難です。また、データを複数の関係者と共有する際に時間がかかるため、効率的な情報の共有が難しくなります。さらに、紙の書類を保管するためのスペースが必要となり、過去のデータを活用した傾向分析などのデータ分析も非常に難しいです。
このような特徴から、紙による実行予算作成は、主に小規模な工事を扱う企業や、ITツールの導入に抵抗のある従業員が多い企業、予算管理が比較的単純な企業に適しています。ただし、紙の方法は、大規模な工事や複数のプロジェクトを同時に管理する必要がある場合には、効率が悪くなる可能性があるため、注意が必要です。
エクセル
Microsoft Excelを使用して実行予算を作成する方法は、多くの企業で採用されています。エクセルを使用することで、紙よりも効率的に予算管理を行うことができます。
まず、Excelを使用するメリットとして、数式を使った自動計算機能が挙げられます。これにより、合計や比率の計算が自動化され、計算ミスを防ぎながら作業をスムーズに進めることができます。また、グラフや図表を簡単に作成してデータを視覚的に表現できるため、情報を理解しやすくなります。さらに、ファイルの共有も簡単で、メールを使った送信やクラウドを活用して複数の関係者とデータを共有することができます。一度作成したテンプレートを再利用することで、効率的な作業が可能となり、ピボットテーブルなどの機能を使ってデータを分析することも容易です。
一方、デメリットとしては、Microsoft Officeのライセンス費用が発生することが挙げられます。Excelの基本的な操作スキルが必要で、操作に不慣れな従業員にとっては時間がかかる可能性もあります。さらに、複数の担当者が同時にファイルを編集する際、バージョン管理が難しくなり、最新版のデータが混在するリスクも考えられます。加えて、メールでファイルを共有する際に、データ漏洩のリスクが伴うため、セキュリティにも注意が必要です。
このような特徴から、Excelを使用した実行予算作成は、中小規模の建設会社や、IT化を進めたいが専用システムの導入までは考えていない企業、そしてExcelの基本操作ができる従業員が多い企業に適しています。
エクセルを使用した実行予算の作成方法
エクセルを使用した実行予算の作成方法について、具体的な手順を以下に示します。
①新規ワークシートを作成し、必要な項目(工事名、工事期間、予算項目など)を入力します。
②各予算項目に対して、予算金額を入力するセルを設定します。
③小計や合計を計算する数式を設定します。
④必要に応じて、条件付き書式を使用して予算超過の項目を強調表示します。
⑤グラフ機能を使用して、予算の内訳や進捗状況を視覚化します。
⑥ワークシートを保護し、重要なセルが誤って変更されないようにします。
エクセルを使用することで、紙よりも効率的に実行予算を管理できますが、大規模なプロジェクトや複数の工事を同時に管理する場合には、より高度な工事管理システムの導入を検討する必要があります。
実行予算の無料エクセルテンプレート
エクセルで実行予算を作成する際に、一からすべてを作成するのは時間がかかります。そこで、無料で利用できるテンプレートを活用することをおすすめします。
以下から、実行予算を計算できる工事台帳エクセルテンプレートをダウンロードすることができます。
テンプレートダウンロードはこちらから:https://sakumiru.jp/resources/excel-format/koujidaichou
このテンプレートを利用するメリットは、実行予算作成時間を大幅に節約できることにとどまりません。
また、テンプレートはデータ構成がしっかりしているので、エクセルをCSV形式に変換して、それを下記の工事管理システムに楽に移行させることが可能となります。そのため、いきなり工事管理システムを導入するのは難しいため、まずは紙からエクセルに移行して、慣れてきたら工事管理システムに移行したいという方にもおすすめです。
工事管理システム
エクセルで実行予算を管理している企業も多いと思いますが、より効率的な管理を目指す場合には、工事管理システムの導入を検討してみましょう。
工事管理システムを使えば、実行予算の管理だけでなく、工程管理、原価管理、資材管理など、建設プロジェクト全体を統合的に管理することができます。
工事管理システムの主な特徴として、まずリアルタイムでのデータ更新が挙げられます。現場からの情報がリアルタイムでシステムに反映され、複数の担当者が同時にデータを更新することも可能です。これにより、工事に関するすべての情報を一元管理でき、AI技術を活用した高度な予測分析機能も備わっています。また、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末から現場でデータを入力できることや、アクセス権限設定やデータ暗号化によるセキュリティ強化も大きな利点です。
システム導入のメリットは、業務効率の向上とミスの削減です。自動計算機能により手作業やデータの二重入力が減少し、作業時間を短縮できます。また、リアルタイムでデータを確認できるため、迅速な意思決定が可能となり、詳細な原価分析によってコスト削減につながります。さらに、法令順守に必要な文書管理や記録保持が容易になるため、コンプライアンス強化にも貢献します。
システム選択時の注意点
工事管理システムの選択に当たっては、以下の点に注意する必要があります。
①導入コスト:初期投資や月々のライセンス費用の考慮。
②操作の複雑さ:従業員のITスキルに合わせたシステム選択。
③カスタマイズ性:自社の業務フローに合わせた調整が可能かどうかの確認。
④サポート体制:導入後のサポートや研修が充実しているかのチェック。
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工事管理システムの中でも、特におすすめなのが「サクミル」です。サクミルは、建設業に特化した工事管理システムで、実行予算の管理から日々の原価管理まで、幅広い機能を提供しています。
サクミルは、リーズナブルな価格で利用できるのが魅力です。初期費用が無料で、30アカウントまで月額9,800円という手頃な価格設定に加え、直感的な操作性とクラウドベースのシステムにより、いつでもどこでもアクセスが可能です。また、顧客管理や案件進捗管理、見積・請求管理など、建設業務に必要な機能を網羅しており、現場でのデータ入力やチェックもスマートフォンから簡単に行えます。
また、サクミルならエクセルからの移行も簡単で、実際にサクミルを導入されている企業からは、「既存の工事管理では、工程表とかをExcelで管理していました。Excelで作成した職人をベースにしたスケジュールと案件ごとのスケジュール管理がサクミルに備わる機能と似ていたため、使いやすかったです。」というお声を頂いています。
詳しい事例はこちら:https://sakumiru.jp/case/iwasakikensetsu
このようにサクミルなどの工事管理システムを導入することで、実行予算の管理だけでなく、建設プロジェクト全体の効率化と品質向上を図ることができます。特に、複数の工事を同時進行で管理する建設会社や、ITを活用した業務改革を目指す企業にとっては、大きなメリットがあるでしょう。
まとめ 〜実行予算管理にはサクミルがおすすめ〜
建設業において実行予算の作成と管理は、非常に重要な業務の一つです。
本記事では、実行予算の定義や似た用語との違い、建設業で重要とされる理由、構成要素、5ステップの作成手順、運用時の注意点、そして「紙」「エクセル」「工事管理システム」という3つの作成ツールについて解説しました。各手法にはメリットとデメリットがあり、企業の規模や業務の複雑さに応じて最適な方法を選ぶことが重要です。
現代の建設業界では、人手不足や資材高騰の影響もあり、デジタル化による業務効率化がますます重要となっています。実行予算の管理においても、効率的かつ正確な管理を実現するために、工事管理システムの導入をおすすめします。
特に、当社が提供する「サクミル」では、実行予算の管理だけでなく、工事全体の効率化や品質向上に寄与する多くの機能を備えています。
サクミルの実行予算・原価管理機能については、建設業の実行予算・原価管理ソフト〔サクミル〕でも詳しくご紹介しています。
この記事を読んで工事管理システムに興味を持たれた方は、ぜひ以下のリンクからサクミルの2か月間の無料体験をお試しください。実際にシステムを使ってみることで、自社の業務改善にどのように活用できるか、具体的なイメージがつかめるはずです。
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