
建設業許可とは?必要な工事の基準・29業種・5つの要件と申請の流れを解説
建設業の経営者・実務担当者の皆さまへ。「500万円超の工事の話が来たが自社は許可を取っていない」「更新は5年ごとのはずだが、毎年出す書類は何なのか」といった疑問はありませんか。本記事では、許可が必要な金額の基準、29業種の区分、5つの要件、申請の手順と費用、許可番号の読み方、更新と届出、罰則までを一次情報に基づいて整理します(2026年9月時点)。
建設業許可とは?許可が必要になる工事の基準
建設業法第3条は、建設工事の完成を請け負うことを営業しようとする者は、軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き、国土交通大臣または都道府県知事の許可を受けなければならないと定めています。公共工事か民間工事か、元請か下請かは問いません。
軽微な建設工事の範囲は500万円・1,500万円・150平方メートル
軽微な建設工事の範囲は建設業法施行令第1条の2で定められています。
工事の種類 | 許可が不要な範囲(軽微な建設工事) |
|---|---|
建築一式工事 | 請負代金1,500万円未満の工事、または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅を建設する工事 |
建築一式工事以外の工事 | 請負代金500万円未満の工事 |
2つの基準は「または」の関係で、1,500万円以上でも延べ面積150平方メートル未満の木造住宅なら許可は不要です。
請負代金は税込みで数える|分割契約と支給材料に注意
- 消費税込みで判断する:請負代金には消費税および地方消費税を含みます(建設業許可事務ガイドライン)。税抜き480万円でも税込みでは500万円を超えます
- 分割した契約は合算する:工事の完成を2以上の契約に分割して請け負うときは合計額で判断します。正当な理由のない分割は認められません(施行令第1条の2第2項)
- 注文者が提供する材料も加算する:その市場価格または市場価格および運送賃を加えて判断します(同条第3項)
建設業許可の区分|大臣許可と知事許可、一般と特定、29業種
大臣許可と知事許可は「営業所をどこに置くか」で決まる
2以上の都道府県に営業所を設けるなら国土交通大臣許可、1つの都道府県のみなら都道府県知事許可です。基準は営業所の所在地で、施工エリアの広さではありません。知事許可でも他の都道府県で施工できます。営業所とは常時請負契約を締結する事務所です。
一般建設業と特定建設業は「下請に出す金額」で決まる
区分 | 必要になる場面 |
|---|---|
特定建設業 | 発注者から直接請け負った工事1件につき、5,000万円(建築工事業は8,000万円)以上の下請契約を締結する場合 |
一般建設業 | 上記以外の場合 |
この金額は政令改正により2025年1月1日に4,500万円(建築工事業7,000万円)から引き上げられました(国土交通省報道発表)。発注者から直接請け負う金額に制限はなく、下請に出さなければいくらの工事でも一般建設業許可で足ります。要件や責任範囲の違いは特定建設業と一般建設業の違いで解説しています。
許可は29業種ごとに取得する
建設工事は土木一式工事・建築一式工事と27の専門工事の計29種類に分類され、営業する業種ごとに許可を受けます。専門工事27業種は、大工、左官、とび・土工・コンクリート、石、屋根、電気、管、タイル・れんが・ブロック、鋼構造物、鉄筋、舗装、しゅんせつ、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、機械器具設置、熱絶縁、電気通信、造園、さく井、建具、水道施設、消防施設、清掃施設、解体です。
一式工事は総合的な企画・指導・調整のもとに施工する元請向けの区分のため、一式工事の許可があっても専門工事を単独で請け負うにはその業種の許可が必要です。土木、建築、電気、管、鋼構造物、舗装、造園の7業種は「指定建設業」とされ、特定建設業許可の技術者要件が厳格です(国土交通省の業種区分表)。
建設業許可の4つの許可要件と欠格要件
許可を受けるには次の4つをすべて満たし、欠格要件に該当しない必要があります(国土交通省「許可の要件」)。
1. 経営業務の管理責任者等(適正な経営能力を有する体制)
建設業許可を受けるには、建設業の経営業務を適正に行うための体制を整える必要があります。法人では「常勤役員等」、個人事業主では「本人または支配人」の中から、所定の要件を満たす者を配置します。
主な要件として、建設業に関する5年以上の経営業務の管理責任者としての経験など、一定の経営経験が求められます。また、一定の役員等経験を持つ常勤役員等と、財務管理・労務管理・業務運営を補佐する者による体制で要件を満たす方法もあります。
令和2年10月1日の改正により、許可を受けようとする業種に限らず、建設業全般に関する経営経験を基本として判断する制度に見直されました。なお、健康保険・厚生年金保険・雇用保険への適切な加入も要件となっています。
2. 営業所ごとに営業所技術者を置く
営業所ごとに、請負契約の締結および履行の技術上の管理をつかさどる技術者を専任で置きます。従来の「専任技術者」で、令和6年12月13日施行の改正建設業法により一般建設業では営業所技術者、特定建設業では特定営業所技術者に名称が改められました(建設業法第7条第2号・第15条第2号)。要件は変わっていません。
一般建設業では、指定学科を修めて高校卒業後5年以上または大学・高専卒業後3年以上の実務経験、当該業種に関し10年以上の実務経験、所定の国家資格のいずれかが必要です。特定建設業では国家資格者、または元請として4,500万円以上の工事での2年以上の指導監督的実務経験が要ります。
3. 財産的基礎または金銭的信用
区分 | 基準 |
|---|---|
一般建設業 | ・自己資本500万円以上 |
特定建設業 | ・欠損の額が資本金の20%以下 |
特定建設業は下請代金の支払能力が問われるため、3指標すべてが必要です。
4. 誠実性
誠実性とは、法人・役員等・使用人(個人事業なら本人)が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないことです。
5. 欠格要件
欠格要件は、申請書の虚偽記載、復権を得ない破産者、許可の取消しや禁錮以上の刑・建設業法違反等の罰金刑から5年を経過しない者などで、法人では役員等も対象です。
建設業許可の申請手順・費用・期間
申請の流れ
- 取得する業種と、一般建設業か特定建設業かを決める
- 要件を満たす人の証明資料(登記事項証明書、常勤性を示す書類など)を集める
- 申請先の手引きに沿って申請書と添付書類を作成する
- 知事許可は都道府県の窓口、大臣許可は本店所在地を管轄する地方整備局長等へ提出する
- 審査を経て許可通知書が交付される
もっとも時間がかかるのは2の資料集めです。10年の実務経験で証明する場合、契約書や注文書を切れ目なく揃えます。
法定費用と許可までの期間
申請の区分 | 知事許可 | 大臣許可 |
|---|---|---|
新規 | 9万円(許可手数料) | 15万円(登録免許税) |
更新・同一区分内での業種追加 | 5万円(許可手数料) | 5万円(許可手数料) |
金額は国土交通省「許可申請の手続き」によります(2026年9月時点)。一般と特定を同時に申請する場合はそれぞれ必要です。
大臣許可は国土交通省の通知(平成13年4月3日国総建第99号)で標準処理期間が定められ、申請書が地方整備局等に到達してからおおむね90日程度です(補正期間を除く)。知事許可は都道府県ごとに異なるため、申請先の手引きで確認してください。
建設業許可番号の読み方と、取得後に続く手続き
許可番号の4つの構成要素
許可番号は「〇〇県知事許可(般-6)第12345号」のように表示され、4つの情報を含みます。
- 「〇〇県知事」「国土交通大臣」:知事許可か大臣許可かの別
- 「般」「特」:一般建設業か特定建設業かの別
- ハイフンの後の数字:「般-6」は一般建設業許可で、許可番号中の「6」は令和6年に許可を受けたことを示します。ただし、番号だけで現在の許可の有効性を判断せず、許可通知書や国土交通省の建設業者検索システムなどで有効期間を確認してください。
- 「第12345号」:事業者ごとの業者番号。更新や業種追加などでは基本的に引き継がれますが、知事許可から大臣許可への変更など「許可換え新規」では新しい許可番号になります。
許可番号から許可業種を読み取ることはできません。取引先の許可業種や有効期間は建設業者・宅建業者等企業情報検索システムで確認できます。
5年ごとの更新と、毎年の決算変更届
許可の有効期間は5年間で、引き続き営業する場合は、原則として有効期間満了日の90日前から30日前までの間に更新申請を行います。更新申請をせず有効期間が満了した場合、新規申請からやり直しになります。
見落とされやすいのが、更新とは別に毎年提出する決算変更届です。建設業法第11条第2項により、毎事業年度経過後4か月以内に工事経歴書や財務諸表などを提出しなければならず、未提出だと更新申請を受け付けてもらえません(書き方は建設業の決算変更届の書き方ガイド)。公共工事に必要な経営事項審査(経審)の前提にもなります。
建設業法違反と処分|無許可営業の罰則と違反事例
無許可営業は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
建設業法第47条は、許可を受けないで建設業を営んだ者、営業停止処分に違反して営業した者、虚偽または不正の事実に基づいて許可を受けた者などを、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金に処すると定めています。情状により併科され、法人には両罰規定があります。
罰則が及ぶのは無許可の業者だけではありません。同条は特定建設業者以外と5,000万円以上の下請契約を締結した場合も対象で、特定建設業の許可を持たない元請が、発注者から直接請け負った工事について、5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)の下請契約を締結することも罰則対象となります。
実務で起きやすい違反事例
- 税抜きで500万円未満と判断した:消費税や支給材料を含めると基準額を超えていた
- 契約を分割して基準額を回避した:正当な理由のない分割は合算される
- 更新を失念して許可が失効した:気づかないまま500万円以上の工事を契約した
- 名義貸し:他社の許可を借りて請け負う行為。許可の取消し事由にもなる
- 特定建設業の許可を持たずに高額な下請契約を締結した:発注者から直接請け負った工事について、5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)の下請契約を締結する場合、特定建設業の許可が必要です。
監督処分は指示・営業停止・許可取消の3段階
刑事罰とは別に、建設業法第28条・第29条に基づく監督処分があります。軽い順に指示処分、1年以内の営業停止、許可の取消しで、一定の事由によって許可を取り消された場合などは、取消しの日から5年間、建設業許可を受けられない場合があります。
処分内容は国土交通省のネガティブ情報等検索サイトで公表され、建設業者は直近5年分が閲覧できます。取引先や元請から確認されうるため、受注機会への影響が大きい処分です。
まとめ
建設業許可は、建築一式工事以外で請負代金500万円以上、建築一式工事で1,500万円以上(または延べ面積150平方メートル以上の木造住宅)の工事を請け負う際に必要です。金額は税込み・支給材料込みで、分割契約は合算します。要件は経営能力の体制・営業所技術者・誠実性・財産的基礎の4つと欠格要件に該当しないこと、法定費用は知事許可の新規9万円、大臣許可の新規15万円、更新は5万円です。
維持で負担になるのは申請より「証明できる記録が残っているか」です。工事ごとの請負金額や工期、担当者の情報は、更新時の工事経歴書や実務経験の証明にそのまま使われます。現場管理DXツール「サクミル」は案件・日報・原価を1画面で扱えるため、こうした記録を日常業務の副産物として残せます。
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